《好き≠恋(日文版)》

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好き≠恋(日文版)- 第3部分


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 切っている野菜を見ているだけでは、何を作るのか想像がつかない。片手鍋に水を入れながら、健人は母に尋ねた。
「肉じゃがよ。えっと、肉じゃがってジャガイモと牛肉だけでよかったかしら……」
「それじゃぁ、本物の肉じゃがになっちゃうよ。たまねぎ、にんじん、あとはしらたきかな」
 もう1年、専業主婦をしていると言うのに、母はあまり料理が得意ではなかった。健人は、この1年間、母の料理を隣で見続けてきた。掃除と洗濯は完璧なのに、どうも、料理だけは上手くいかないようで、過去に何度か失敗をしてきた。
 そして、才能もあまり無いようだ。
「あぁ、しらたき、忘れてたわ。でも、入れなくていっか」
「まぁ、良いんじゃない?」
 大雑把で適当な母を横目に見て、健人は水を張った片手鍋を火にかける。時間的に、味噌汁のことをすっかり忘れていそうなので、味噌汁は勝手に作ることにした。冷蔵庫の中を漁って、味噌汁に入れる具を見つける。
「味噌汁、俺が作るね」
「あ、忘れてたわ! ありがとう」
 やはり、味噌汁の存在は忘れていたようで、母は健人に笑みを向けた。こうして、一緒に料理をすることなんて、1年前までは有り得なかったことだ。楽しそうに料理をしている母を見て、再婚してよかったのだと健人は自分に言い聞かせる。そうでないと、今でも何故、再婚したのかと一人で考え込んでしまうからだ。
 心の奥に根付いたトラウマは、些細なことでも反応してしまう。再び、食材を切る音が聞こえて、健人は上にある棚から鰹節を取り出した。
「ねぇ、健人」
 にんじんの皮を剥いている母が、静かに健人を呼ぶ。先ほどとは摺ι簸恕⒔∪摔夏袱四郡蛳颏堡俊
「何?」
「歩君と、仲良くしてる?」
 その伲鼏枻私∪摔膝丧盲趣筏俊1砻嫔悉扦现倭激筏皮い毪栅辘颏筏皮い毪ⅳ饯欷霞窑沃肖坤堡韦长趣馈M猡匾粴iでも出れば、歩に対しての対応はがらりと変わる。仲が悪いと言うよりも、一方的に嫌悪しているだけなのだが、仲良しとは言いがたい。
「ん、してるよ」
 それでも、母を心配させるわけにはいかないので、健人はウソを吐く。ここでもし、健人が歩のことを嫌いだと言えば、母は物凄く悲しむだろう。頑固で強気な母のことだから、表面には出さず、一人きりになったときに思いっきり悲しむのだ。その姿を何度か見たことがあるので、母だけは悲しませたくなかった。
「そう。なら、いいんだけど。同い年だものね」
 ケラケラと笑った母を見て、健人は安堵してしまった。ウソを吐くとどうしても良心が痛み、バレていないかとドギマギしてしまう。それでもウソをつくことはやめれず、騙していることも分かっているがどうしても歩のことは好きになれない。仲良くしようとも思えなかった。
 健人が歩を嫌っているのは、基本的にちゃらけているからだ。何事も適当で、笑って铡Щ工趣长恧笙婴い坤盲俊?谙趣坤堡窝匀~をずらずらと並べて、思っても居ないことを簡単に言う。そして、何より、あのヘラヘラとした顔が大嫌いだった。
 嫌いなところを並べたら、キリがない。思い出すだけで腹が立ってくるのを感じて、健人は一度、この場から離れようと思った。
「母さん、しらたきないんでしょう? 俺、買って来るからさ。味噌汁の出汁だけとっておいて」
「え、まだ歩君帰ってきてないから、歩君に頼もうと思ってたんだけど」
「いいよ。俺が行く」
 まだ学校から帰ってこない歩に頼んだところで、何時に帰ってくるのか分からない。それなら、健人が買いに行ったほうが早いだろう。それに、一刻も早く、この家から出たい健人は母の制止を振り切って、家を飛び出した。
「……あ、健人」
 玄関を開けて飛び出した途端に、嫌いな奴の声がして、健人は顔をあげた。
「買い物、行くの?」
 あからさまに嫌な顔をしてしまったと言うのに、歩は一切表情を変えず、笑顔で健人に話しかける。右手には相変わらず携帯を持っていて、誰かとメ毪扦猡筏皮い郡螭坤恧Α
「夕飯の食材買いに行くんだよ」
 低い声で答えると、歩はニッと笑う。
「へぇ、じゃぁ、俺も一緒にいこ」
「……くんなよ」
「つれないなぁ、お兄ちゃん」
 嫌な顔をしたにも関わらず、歩は健人の後ろをついてきた。これ以上、何を言おうが歩が家に戻ることは無いだろう。それならそれで、無視し続けた方が楽なので、健人はそれ以上何も言わなかった。
 歩は健人の隣に並んで、競歩のように早く歩く健人に歩幅を合わせる。長身の歩は、健人と10センチ以上差があるため、歩幅を合わせるのは楽だった。健人がいくら早く歩こうが、歩からしたら普通のスピ嗓坤盲俊
「何を買いに行くの?」
「しらたき」
 嫌われていることは自覚しているが、伲鼏枻筏郡长趣摔纤刂堡舜黏à虢∪摔恕iは少し笑ってしまう。不貞腐れているような仏頂面は、上から見下ろすと拗ねているようにしか見えない。顔も童顔だから、怒っていてもそのようには見えなかった。
「しらたきってことは……。今日はすき焼きだな!」
 食材から今日の夕飯を当てようとすると、健人から冷たく「肉じゃがだよ」と正解を言われる。見事に外した歩は「肉じゃが好きだよ」と苦笑した。
 歩が歩くスピ嗓颏沥绀盲冗Wめても、健人のスピ嗓蠅浃铯椁胜ぁ=穸趣纤伽幛皮撙毪取⒔∪摔违攻冤‘ドも少し上がった。置いて行くのは構わないが、追い抜かれるのはイヤなようだ。
「しらたき足りなかったなら、買ってきたのに」
「何時に帰ってくるか、わかんねぇだろ。お前」
 携帯を顎に当てて、考えているふりをしている歩に、健人ははっきり言う。この1年間、毎日学校へは一緒に行っているが、帰りは別々だ。健人は毎日似たような時間に帰ってくるが、撸Г螭扦霘iは帰ってくる時間がまちまちだった。
「確かに。でも、最近は早いと思うよ。そんなに撸Г螭扦胜い椤¥饯ρ预à小⒔∪摔显绀瘞ⅳ盲沥悚Δ瑜汀_'んで帰らないの?」
 撸Г螭菐ⅳ椁胜い危俊·妊预ρ匀~を、健人は嫌味にとってしまった。暗に、友達がいないのかとバカにされているようで腹が立つ。家にいたら、もっと腹立ってしまうから家を飛び出してきたのに、怒りの原因が一緒についてきてしまったら、苛立ちは増す一方だ。
「別に……、撸Г螭菐ⅳ胍馕钉证椁胜ぁ
「楽しいよYIい食いとか。まぁ、いつもジンとだし。今度、健人も一緒に行こうよ!」
「行かない」
 話の流れから誘われるような気がしていた健人は、すぐに断る。こんなにも苛立たせてくれる歩と買い食いをしにいったって、自分が怒り狂うのは目に見えている。それなら、家で大人しく母の手伝いをしている方が、何十倍、何百倍も楽しいだろう。
「ジンって一見、凄くバカそうに見えるけど、ゲ啶工博‘上手いの。いっつも賭けるんだけど、俺、すぐに負けちゃうんだよね¥饯螭恰ⅴ飑‘プとか奢らされんの」
「……へぇ」
 歩にバカだと言われたらおしまいだなと、健人は冷やかな目で歩を見る。明るく、声の大きいジンは、確かに頭が良いようには見えないが、健人と同じ特待生の一人だ。バカなはずがない。
「最近、ハマってんのが、エアホッケ0尺_二人でさ、エアホッケ蕙袱扦浃盲皮毪椤⒆庸─趣蓼盲皮螭韦省¥饯螭恰ⅳ蓼 长埭碡摛堡筏皮郡辘工毪取⑿·丹ぷ婴瑥暝筏皮欷螭巍¥工博‘、楽しいよ」
 楽しそうに話す歩を尻目に、健人は歩眨蛩伽工搿¥长胃督扦膺M学校として有名な林ノ宮高校の制服を着た男が、ゲ啷互螗咯‘のエアホッケ菬釕椁蚶Rり広げていれば、誰だって注目するだろう。子供たちに応援されている歩を想像して、健人はバカだなと思った。そんな輪の中になど、入りたくもない。
「面白そうじゃない?」
「全く」
「え⒔∪摔盲匹博‘センとか苦手? 騒がしい所、苦手そうだもんなぁ」
 大げさな声が、背後から聞えて健人は眉間に皺を寄せた。勝手に苦手と決め付けられたくないが、歩の言うとおり、ゲ啷互螗咯‘など騒がしいところは苦手だった。
「じゃぁさ、今度、映画観にいかない?」
「……はぁ? 何で、お前と……」
 いきなりの申し出に、さすがの健人も驚き、足を止めて歩を見た。
「だって健人さ、日曜だろうが平日だろうがずっと家にいるじゃん。そんなの絶対につまんないって。今週の日曜、俺、暇だしさ。行こうよ」
 何が虚しくて野郎二人で映画を観にいかなければいけないのか、健人は歩の顔を見ながらそんなことを考えた。それでも、行こうと何度も誘ってくる歩を断りきれず、一緒に映画へ行くはめになってしまった。
「健人は何が見たい? ホラ俊ˉ撺攻匹戛‘? それとも、アニメ?」
 最後の一つは、歩も笑いながら聞いてきた。ふざけているのだろうが、今後、一緒に行かないためにも、歩には似合わなさそうなのを選ぼうと健人は思った。
「考えとく」
「まぁ、俺、映画はえり好みしないし。健人が好きなのを選ぶと良いよ」
 笑みを向けた歩を見て、健人はふと目を逸らした。返事は素っ気無いし、いつも冷たくあしらっているというのに、どうして歩は健人に笑みを向けることができるのだろうか。普通の人だったら、健人に対して怒りを覚えていても可笑しくないはずだ。それなのに、歩はいつも笑いながら健人に話し掛けてくる。それが不思議でたまらなかった。
 家から歩いて15分ほどの距離にあるス雪‘へ、健人と歩は入っていく。一人は私服、もう一人は近くにある進学校の制服を着ているから、妙に視線を感じる。
「ねぇ、健人、お菓子買っても良い?」
「……自分の金で買えよ」
 入るなりに菓子コ施‘へ行こうとした歩を無視して、健人はすたすたと歩き始める。買ってくるものはしたらきだけなので、片手でしらたきを取ってそのままレジへと向かう。頼んでも買ってもらえないこと分かったのか、歩は何も持たずに健人の後ろをぴったりくっ付いていた。
「ほんとにしらたきだけなんだ」
「当たり前だろ。要るのはしらたきだけなんだから」
 袋に入れてもらったのを受け取ると、健人は歩がついて来ているのを確認せずに歩き始める。一刻でも早く帰り、二人きりでいる時間を減らしたい。家に到着したら、すぐにでもキッチンへ行って歩が立ち寄らないようにしようと頭の中で作戦を練っていた。
「持つよ」
「は?」
 すっと持っていたビニ氪驃Zわれて、健人は唖然とする。
「せっかく、一緒に来たんだから、持つって」
 笑いながら袋を掲げる歩を見て、ちくりと心が痛むのを感じた。どうして、ここまで嫌っているのに、こんなことをしてくるのか健人には全く理解できない。
「か、返せよ……」
「どうせ、一緒の家に帰るんだし。これぐらい、俺に持たせてよ」
 袋を歩に取られてしまった以上、取り返すことが出来なくなった健人はため息を吐いて、歩から視線を外す。もう1年も一緒に住んでいると言うのに、歩が何を考えているのかさっぱり分からない。
「あぁ、あとさ、ご飯食べ終わってからで良いんだけど……」
 まだ話し掛けてくる歩に健人は歩くのをやめて、振り向く。
「物理のノ荣Jしてよ。ジンが貸してくれなくて、困ってるんだ」
 首の裏を掻きながら、苦笑いしている歩を見て、どこか摺透肖蚋肖袱俊¥い膜馔à辘巍ⅳ栅钉堡啃︻啢坤妊预Δ韦恕ⅳ饯涡︻啢嗓长盲搿
「……イヤだよ。俺も借りパクされたくないし」
 そう答えて、健人は歩に背を向けた。もう家に着くまでは振り向くまいと、健人は早歩きで歩き始める。背後からは「え工妊预ε肖紊劋长à郡堡欷伞⒙劋长à胜盲郡栅辘颏筏茪iみは止めなかった。
 春の夕暮れは少し肌寒く、二人の間を風が通った。
 行きたくないと思っていればいるほど、その日は早く来るもので、歩と映画を観に行くと約束した日曜日になってしまった。前日の晩、歩はわざわざ健人の部屋までやってきて、約束を覚えているかと確認をしにきた。部屋に入ってくることすら嫌な健人は、分かってるとぶっきら棒に返事をして歩を部屋から追い出した。このとき、断っておけば行かなくて済んだのではないかと、目が覚めてからそう思い、今さらそんなことを考えていても時はすでに遅かった。
 健人が観たい映画は特になく、歩が観たいと言った映画を見に行くことになった。時間は11時からと言うことで、10時半には家を出る予定だった。健人は9時に目を覚まし、歯磨き、洗顔を済ませてから、リビングへと向かった。
「あぁ、健人君。おはよう」
 健人がリビングに顔を出すと、義父が笑顔で挨拶をする。それを無視するわけにはいかないので、健人も仄かに笑い「おはようございます」と返事をし、ダイニングテ芝毪搜颏堡俊Ax父はソファ俗盲皮辍⑷の钉扦ⅳ毳触毳栅违楗证蚰イい皮い俊
 大体、朝はコ药‘と決めている健人は、ウキウキとクラブを磨いている義父を見た。
「……お、お父さん。コ药‘淹れますけど、飲みますか?」
 まだ、義父のことをお父さんと呼ぶことになれない健人は、呼ぶときにいつもどもってしまう。健人が話しかけると、義父は嬉々として振り返り「飲む!」と元気よく返事をした。歩の父らしく、明るい人でいつも笑顔を絶やさない。その辺に人当たりの良さを感じた。
 健人は椅子から立ち上がると、キッチンへ向かい、棚からコ药‘豆を取り出した。慣れた手つきで水をコ药‘メ‘に注ぐと、フィルタ蛞幻度·瓿訾筏啤ⅴ旦‘バ沃肖衰榨%毳咯‘を置く。スプ螭钎畅‘ヒ工蜣浃ぁ2杯、サ些‘の中に入れてコ药‘メ衰互氓趣工毪去攻ぅ氓沥蜓氦筏俊
 すぐにコポコポと水を吸う音が聞こえ始めた。それから数秒ほど経つと、デカンタの中に抽出されたコ药‘が落ちてくる。コ药‘が落ちるまでの間に、健人は食器棚の中からカップを取り出して並べた。
 ここに立って居ても暇だが、
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